今の時代だからこそ味を感じるフィルムカメラの良さや魅力を説明します

レトロ風で人気!手間が掛かるから良い!昨今流行りのフィルムカメラとは?
インスタントカメラと使い捨てカメラの違いは?
フィルムカメラの説明と、デジタルカメラと比較しながらフィルムカメラの良さを説明しています。
はじめに

最近、若い世代を中心にフィルムカメラが流行っています。
レトロ風で味のある写真が撮れたり、現像してプリントするまで、どのような写真になっているか分からないことが魅力なのだそうです。
では、実際に、フィルムカメラで撮るということは、どういうことなのか。
デジタルカメラ(スマホのカメラを含む)と比較しながら探っていきたいと思います。
フィルムカメラに興味はあるけど、まだ撮ったことのない方の参考になれば幸いです。
フィルムって何?

フィルムは、デジタルカメラで言えば、イメージセンサーであり、SDカードやCFカードなどの記録媒体でもあります。
フィルムとは薄い膜に感光剤を塗ったものです。
カメラに装着したレンズを通して光が感光剤に当たり、化学反応を起こした結果、フィルムに像が記録されます。
ただし、このままでは像を確認することが出来ません。
明るいところでフィルムを広げてしまうと、「感光」といって、フィルム全面で化学反応が起こり、記録された像が消えてしまいます。
そのため、フィルムに現像処理と定着処理を施します。
これをまとめて「現像」と呼んでいます。
ちなみに、白黒フィルムなら自分で現像が出来ます。
水を使うので、浴室やキッチンで作業するのがオススメです。
薬剤や現像用タンク、リール、と用意するものが多いですが、一歩、深い世界に入れたようで楽しいですよ。
失敗すると折角撮影した画像とは一生会えませんので、慣れるまでは緊張感もかなりのものです。
フィルムにはネガフィルムとポジフィルムがあります。
一般的にフィルムと言われて思い浮かべるのはネガフィルムだと思います。

ネガフィルムは色や明るさが反転して写っています。
その状態では、何が写っているのか分かりにくく、プリントすることはほぼ必須です。
ポジフィルムは撮影した色と明るさがそのまま記録されています。
なので、撮影した画像をプリントすることなく確認できます。
ポジフィルムを使ってプロジェクターに映し出せることから、スライドフィルムと呼ばれることもあります。
フィルムのサイズは、デジタルカメラで言うところのセンサーサイズです。
一般的に35mmフィルム(サンゴー)と呼ばれるものをカメラに装填して、写真を撮ります。
36枚撮りが標準ですが、24枚撮りと27枚撮りもあります。
35mmフィルム専用カメラで使用します。
他に、中判カメラで使う、中判フィルム(120フィルムや、ブローニーとも言う)があります。
中判フィルムの長さは決まっていて、カメラのフォーマットサイズによって撮影可能枚数が変わります。
フォーマットとしては6×4.5(ロクヨンゴ)6×6(ロクロク)、6×7(ロクナナ)などがあり、それぞれ16枚、12枚、10枚の写真が撮れます。
更に大きい、大判カメラがあり、こちらの専用フィルムは、フィルム状ではなくシート状です。
4×5(シノゴ)、8×10(エイトバイテン、バイテン)などがあります。
カメラに一枚一枚装填して使います。
シートを入れるカートリッジには表裏で2枚入ります。
35mmフィルムより大きいフィルムを使うのは、単純に高精細な画が得られるからです。
35mmフィルムの画面サイズは24mm×36mm。
6×7の中判フィルムで56mm×69mm。
4×5の大判フィルムは100mm×125mm。
それぞれをA4サイズに拡大したい場合は、35mmフィルムでは数十倍に拡大しなければいけないところ、4×5なら数倍で事足ります。
拡大すればするほど、画像の鮮明さが失われるのは、フィルムもデジタルも同じです。
尚、中判サイズのデジタルカメラも存在します。

!ポイント!
〜フィルムの保存について〜
フィルムには使用期限があります。
使用期限内に使い切るのは勿論ですが、フィルムの保存についても気をつけましょう。
フィルムを高温多湿な環境に置いておくとカビたり、フィルム同士がくっついてしまうことがあります。
未使用、使用済み、現像済みに関わらず、除湿剤と気温湿度計を入れたケースに保管することを勧めます。
それから、使用済みで未現像のフィルムは像がまだ安定していません。
劣化を防ぐためにも、撮り終わったらなるべく早く現像に出しましょう。
フィルムカメラの良いところは?

・カメラ本体のメンテナンスが楽
デジタルカメラよりシンプルなので、基本的にメンテナンスが楽です。
どう楽になるのか一眼レフカメラで比較しましょう。
一眼レフは、レンズの着け外しをしますので、デジタルもフィルムも本体内に埃が入りやすい構造をしています。
そのため、定期的に掃除をして埃を取り除かなければなりません。
埃が付着していると光の取り込みを阻害し、像が欠ける現象が起きるからです。
デジタルカメラには、レンズから取り込んだ光を電気信号に変える部品があります。
イメージセンサー(撮像素子、CCD)です。カメラ本体からレンズを外し、ミラーを上げると見える部品です。
この掃除が少々厄介なのです。
掃除そのものはブロアーで埃を吹き飛ばし、専用の液体を使って優しく拭き上げるだけです。
しかしセンサーに傷がついてしまうと、傷の部分は光を取り込めなくなります。
ですので、撮影したどの画像データも同じ箇所の像が欠けてしまいます。
修理に出さない限り、治りません。
このセンサーに塵のような砂などが付着していると、液体で拭き上げるときに引っ掻いてしまい、センサーに傷がついてしまうのです。
では、フィルムカメラはどうでしょうか。
本体とレンズを外してミラーを上げたら、バフバフとブロアーを吹くだけでOKです。
レンズの扱いに関しては、デジタルとフィルムでそこまでの差はありません。どちらにしても丁寧に扱いましょう。
・撮影した画像の画質は、カメラ本体の性能に依らない
フィルムカメラと一言で言っても、沢山の種類、機種があることはご存知のことだと思います。
それぞれカメラの重さや、シャッタースピードの最速値などが違いますし、被写体によっては、カメラの性能が物を言うのは間違いありません。
それでも、画質やISOはフィルムの側で決まります。
ISO100で撮るのも、ISO400で撮るのも、カメラの設定を変えるのではなく、装填するフィルムを変えるのです。
デジタルカメラは新しい機種が次々に発売されますが、そのたびに画質が向上していたり、画素数が多くなったり新機能が搭載されていたります。
古いデジタルカメラで撮影した画像と見比べると、どうしても新しいカメラの方が良く見えてしまいますよね。
比べてフィルムカメラですと、前述のとおりカメラ本体の性能だけでは左右されませんので、中古のカメラでも構わないのです。
勿論、フィルムカメラだって新しい方が、色々な機能がついています。
露出もオート、ピントもオート、撮り終わったフィルムをオートで巻き上げてもくれます。
昨今の流行りに合わせて、フィルムカメラの新機種を発売したメーカーもありますので、自分に合うカメラがどんなものなのか調べてみると良いと思います。
・思い出として記憶により刻まれるかも

フィルムで撮影した画像がどのようになっているのかは、現像して、プリントしてみなければ分かりません。
慣れてくれば、ある程度予測がたてられるものですし、より思い描いたとおりに撮影できるよう、露出計などを使って正確性を上げていくこともできます。
しかし、要らないなら後で消せば良いから取り敢えず撮る、のような使い方はしません。
またフィルムが流行っているとは言え、フィルムのコストも現像、プリントのコストも上がり続けています。
一枚一枚何を撮るのか、じっくりと被写体と向き合うことになります。
これは個人的見解に過ぎないのですが、思い出としてより記憶に刻まれるでしょう。
〜一眼レフカメラのレンズについて〜

フィルムカメラのレンズもデジタルカメラで使えることがあります(※デジタルカメラの機能に制限が掛かることがあります)。
同一メーカーならそのまま使える場合と、変換アダプターが必要な場合があります。
メーカーのHPなどで案内があると思いますので、調べてみると良いでしょう。
また、カメラ本体のメーカーが作る純正レンズの他に、サードパーティー製のレンズもあります。
こちらも、メーカー別の変換リングによって、レンズを付け替えることが出来ます。
既にデジタルカメラをお持ちの方は、これらも踏まえてどのフィルムカメラを買うのか検討すると良いでしょう。
使い捨てカメラとインスタントカメラとは?

フィルムカメラには、使い捨てカメラ(写ルンですなど)とインスタントカメラ(チェキなど)があります。
インスタントカメラは自分でフィルムを装填します。
カメラ本体はフィルムの残量が無くなっても継続して使用できます。
装填されたフィルムは、撮ったその場で現像・プリントされて数分あれば画像が確認できます。
ただし、基本的には撮った写真1枚が手元に残るだけです。
データが35mmフィルムやSDカードなどのように残る訳ではありません。
しかし、多少の色味の違いはあれど、写真をスキャンして複製することは出来ます。
使い捨てカメラはレンズ付きフィルムとも呼ばれ、その名の通り、小さいレンズがついた箱に35mmフィルムが1本入っていて、撮り終わればその箱ごと現像に出す、というものです。
カメラ本体と言えるものが無いので、手元に残るのは現像したフィルム1本です(現像に出す際、写真のプリントもお願いすれば、(36枚撮りなら)36枚の写真とフィルム1本が戻ってきます)。
フィルムがあれば、同じ写真を焼き増し出来ます。
使い捨てカメラで操作出来るのは、シャッターボタンとフィルムを巻くダイヤル、フラッシュを使うときにスライドさせるレバーの3ヶ所です。
明るさの変更やピント調整は出来ません。
〜使い捨てカメラのレンズと被写界深度について〜

被写界深度(ひしゃかいしんど)とは、ピントが合っているように見える範囲のことです。
一眼レフカメラでF値をどんなに絞っても(F値の数値が大きくなる)、開放にしても(F値の数値が小さくなる)、実は正確にピントが合っているのは、カメラと平行の、ある一面のみなのです。
詳細な説明は省きますが、F値を大きくすることで、ピントが合っているように見える範囲を広げられます。
F値を大きくするということは、レンズの絞りを狭くするということです。
つまり、フィルムやイメージセンサーにあたる光の入射角度を狭くしています。
使い捨てカメラについているレンズは小さいので、一眼レフでいうF値を絞った状態になっているようなものなのです。
なので、ピントを合わせずにテキトーに撮影しても、なんとなくピントが合ったような写真になるのです。
しかし、レンズが小さいということは、一度に取り込める光の量が少ない、ということでもあります。
その為、暗い所での撮影にはやや不向きです。
フラッシュを使わないで撮影した結果、現像してみたら真っ黒だった、全体的に薄暗くて何を撮ったのか分からない、なんてことも起こりやすいです。
また、もう一つ弱点が。使い捨てカメラは近接撮影を苦手としています。
被写体とカメラの距離が1m以内だと、ピンボケしてしまうので注意してください。
このことを逆手に取って、味のある写真が撮れるかもしれませんね。
撮影後のプリントについて

デジタルカメラの場合、撮影可能枚数をあまり気にしなくて良いことから、膨大な数になりやすく、その全てをプリントすることは無いと思います。
ハードディスクやクラウドでデータを保存しているだけ、という方も多いのではないでしょうか。
フィルムカメラは、基本的に、現像をお店にお願いすることになります。
家電量販店のプリントコーナーなどで現像も取り扱っているので、現像に出すこと自体はまだまだ身近で出来る印象です。
前述でも説明していますが、ネガフィルムの場合は、現像だけでは何が写っているのか分かりにくいです。
そのため、フィルムを現像に出す際、ついでにプリントもお願いすると良いでしょう。
しかし、現像が上がるまで画像が確認出来ませんので、現像とプリントを同時にお願いすると、失敗した写真までプリントされることになります。
失敗した写真なんて要らないよ、という方は現像されたフィルムを確認してからプリントをお願いすると良いでしょう。
また、お店によっては、現像と同時プリントではなく、現像と同時にスキャンしてデータ化してくれるメニューがあるかもしれませんので、データで欲しい方はそちらを選択すると良いでしょう。
データで貰えれば、SNSなどにもアップしやすくなります。
撮影したフィルムの本数が多いなら、フィルムスキャナーを自分で購入してスキャンするという方法もあります。
コストや掛かる時間などを比較して、好きな方を選ぶべば良いと思います。
まとめ

フィルムでの撮影は中々にコストが掛かります。
しかし、デジタルには無い良さがあるのも事実です。
フィルム特有のランダムに置かれた銀粒子が何とも言えない雰囲気を出してくれるのです。
これが若い世代の方にはレトロ風と言われる所以かもしれません。
フィルムでの撮影も出来上がった写真を見ることも未経験の方は、是非一度くらいは経験しても良いのでは、と思っています。