【2025年6月】ひとりで海外を旅してわかった、本当に大切なこと

はじめに

「物価高の今、わざわざ海外旅行?」「ひとりで海外? 怖くないの?」そう言われることがよくあります。

でも、私は思いました。怖さの中にこそ、自分を変えるきっかけがあるのだと。

この記事では、私が一人で海外を旅した中で得た、人生の大切な気づきを7つご紹介します。

1.決めて描けば、不安は“楽しみ”に変わる

「ひとり旅」特にそれが海外なら、不安はつきものです。

知らない国、慣れない言葉、文化の違いなど。そうした環境に身を置くと、不安とワクワクが交互にやってきます。

でも、不安の多くは「予測できるもの」事前に情報を集め、準備をしておくことで、心に余裕をもって旅を楽しむことができます。

まず私が大切にしているのは、「旅のプランを練る前に、自分自身と向き合うこと」。

これから紹介する3つのステップを通して、旅のイメージを明確にすれば、不安が少しずつ“楽しみ”に変わっていきます。

(1)旅のテーマを決める

「今回の旅で自分はどんな気持ちになりたい?」「帰国後、どんな自分に成長していたい?」など、自分に問いかけるようにノートに書き出していきます。私はいつもこのプロセスを紙のノートで行います。

書くことで、自分の今の気持ちを客観的に把握でき、旅の目的が明確になるだけでなく、帰国後の自分の変化にも気づきやすくなるからです。

(2)行き先・予算・やってみたいことを決める

自分と向き合ったノートをもとに、どこの国に行くか、どんな体験をしたいかを考えていきます。ここで役立つのがGoogleのフライト検索機能と、現地体験を予約できるサービス(Klook、VELTRA、楽天トラベル観光体験など)です。

これらを活用すると、目的地・体験内容・予算感をイメージしやすくなり、旅の解像度が一気に高まります。場所や予算だけでなく、「この旅でしかできないこと」に目を向けることで、旅へのワクワク感が膨らみます。

(3)出入国のルールを確認し、準備スケジュールを組む

海外旅行では、出入国に関するルールの確認が必須です。特に近年は情勢や衛生面の変化が多く、最新情報のチェックが欠かせません。

旅を安全に終えるためにも、私は以下のようなサイトを必ず確認・登録しています。

外務省 海外安全ホームページ(国・地域別情報)

「たびレジ」登録(現地情勢の通知)

・渡航先のビザの有無

日本帰国時のVisit JapanWeb登録

「旅は帰るまでが旅」と言いますが、まさにそのとおり。安心して旅を楽しむためにも、出発前から準備をスケジュール化して進めることが大切です。

2.完璧じゃないからこそ、人とつながれる

海外でのひとり旅では、予定通りにいかないことが日常です。

言葉が通じなかったり、道に迷ったり、注文した料理が思っていたものと違っていたり。日本にいるときには当たり前のようにスムーズに進んでいたことが、旅先ではことごとく引っかかり、思わぬハプニングの連続になることも少なくありません。

けれど、そんな「うまくできない自分」と向き合う旅だからこそ、人とのつながりのありがたさや温かさを強く感じる瞬間があります。

私が台湾を旅していたときのことです。複数のバスを乗り継いで目的地に向かおうとしたのですが、バス停の場所がわからず、路線図も中国語でなかなか理解できません。

スマートフォンの地図アプリを見ながら立ち尽くしていた私に、一人の現地の女性が声をかけてくれました。

「どこに行くの?バスは時間かかるから地下鉄の方が早いと思う」。その言葉に、どれほど救われたことか。笑顔でゆっくりとした英語で案内してくれた彼女の存在は、今でも忘れられません。

完璧な英語ではありませんでしたが、身振り手振りを交えて伝えてくれたその気遣いに、私もつたない言葉で「ありがとう」と、何度も感謝を伝えました。言葉そのものよりも、「伝えようとする気持ち」が人と人とをつなぐのだと、そのとき強く感じたのです。

日本では、公共交通機関は基本的に時間通りに動き、多少の遅れがあっても数分の誤差で済むのが普通です。時刻表に従えば、自力で問題なく目的地にたどり着けることがほとんどでしょう。

しかし海外では、時間の感覚や交通のシステムそのものが異なります。遅延も頻繁で、乗り場や行き先の表示が分かりづらいことも多々あります。

そんなとき、私たちはつい「きちんとしなきゃ」「迷惑をかけちゃいけない」と思って、自分だけで何とかしようと頑張りがちです。でも、旅先ではむしろ、「助けを求めること」「頼ってみること」が、新しい出会いや信頼関係を生む大切なきっかけになるのだと実感します。

完璧でなくてもいい。不完全なままでも、人はちゃんとつながれる。旅が教えてくれるのは、そんなシンプルで、けれど大切な真実なのかもしれません。

3.予定外の出来事もまた、記憶になる

旅は、予測できないことの連続です。

電車が遅れたり、目当てのカフェが臨時休業だったり、突然のスコールで予定が狂ったり。「なんで今?」と思うようなことも多く、最初は「うまくいかなかったな」と落ち込むこともあります。

けれど、振り返ってみると、その“想定外”から始まった出来事こそが、一番記憶に残っていると気づくことがあります。

あるとき私は、シンガポールからインドを経由してスリランカに向かう旅をしていました。

インドの空港には深夜に到着し、翌朝の便でスリランカに飛ぶ予定だったため、「空港の中で朝まで過ごせばいいだろう」と軽く考えていました。

長時間のフライトのあとだったので、どこかで腰を下ろして仮眠でも取れたら十分だろうと思っていたのです。

ところが、入国のビザ手続きで思わぬトラブルが発生。オンラインで申請した情報に不備があったようで、カウンターで何度も説明を求められ、やりとりに時間がかかりました。

それでも、空港スタッフは親切で、真夜中にもかかわらず丁寧に対応してくれました。そのうち、一人の係員と気さくに言葉を交わすようになり、だんだんと打ち解けていきました。

雑談の中で彼が「空港の外も少し案内できるけど、出てみる?」と声をかけてくれました。「せっかくだし、ちょっとだけなら」と、私は深く考えずに「イエス」と答え、そのまま案内されるまま空港の外へ。

しかしその瞬間、「しまった」と気づきました。インドの空港は、一度出てしまうと、チェックイン可能な時間帯になるまで再入場できない仕組みになっていたのです。

つまり、私のようなトランジット客が夜を明かすには、空港の中にとどまっている必要があったのでした。

気づいたときにはもう遅く、外は真夜中。真夏のインドは昼間の熱気がまだ残り、湿度も高く、周囲には大量の蚊や虫が飛び交っていました。

もちろん屋外で寝るような環境ではなく、身の危険さえ感じました。「これはもう、宿を探すしかない」と覚悟を決め、空港周辺にいたタクシー運転手に声をかけました。

英語で事情を説明し、宿泊場所と翌朝の空港への送迎をお願いすることに。深夜ということもあり、提示された料金はやや割高でしたが、他に選択肢はありません。交渉しつつ、なんとか納得のいく形で話をまとめました。

最初に連れて行ってもらったホテルは満室。断られてしまい、次のホテルを目指します。2軒目でようやく空室を確保。1泊5,000円ほどの部屋は、正直なところ日本のビジネスホテルとは比べものにならない簡素な作りでした。

けれど、このときばかりは「蚊に刺されずに眠れるだけで十分」だと心から思いました。宿泊費はその場で支払い、タクシー代は翌朝に。私はそのままベッドに倒れ込むようにして眠りました。

そして翌朝、目を覚ましたときの光景に、思わず笑ってしまいました。夜にはまったく見えなかった街の風景が、カーテン越しの柔らかな日差しの中で姿を現していました。

窓の外には、のんびりと草を食む牛。どこからともなく聞こえてくるお経のような音楽。鼻をつくような何とも言えない独特のにおい。昨夜の混乱とはうって変わった、穏やかで異国情緒あふれる朝の光景でした。

予定とは大きく違ってしまったものの、この一連の体験は、今では旅の中でも特に印象深い思い出になっています。

もちろん、トラブルに巻き込まれないに越したことはありませんが、こうした“想定外”があるからこそ、その土地の空気や人のあたたかさを深く感じることができたのだと思います。

ちなみに、翌朝再び同じ運転手が迎えに来てくれました。しかしここでも再び小さなハプニングが。

昨夜とは異なる金額を提示され、私は少し戸惑いましたが、手持ちのシンガポールドル70ドルを渡すと彼は満足げにうなずいてくれました。「まあ、こういうのも含めて旅だよね」と、どこか諦めにも似た納得をしながら空港に戻りました。

旅は思い通りにいかないことの連続です。

けれど、そうしたハプニングこそが、あとから振り返ったときに一番心に残っているもの。そう実感できるようになったのは、ひとり旅でたくさんの「想定外」と向き合ってきたからだと思います。

4.自分に集中できる、贅沢な時間

ひとり旅の最大の魅力のひとつは、「誰にも気を遣わなくていい」ということかもしれません。

どこへ行くか、何を食べるか、何時に起きて、何時に眠るか。すべての決定権が自分にあり、誰かに合わせる必要がありません。この“自分で選択する”という行為そのものが、自分の内側に意識を向ける貴重な時間を生み出してくれます。

たとえば、ある日の朝。ホテルのベッドで目を覚ました私は、時計を見てから「ああ、今日は予定も時間も、誰にも縛られず本当に自由な1日だ」とふと実感しました。

そのままゆっくり支度をして、ガイドブックでは見かけなかった地元のカフェを歩いて探すことに。

知らない街をのんびり歩いていると、焼きたてのパンの香りが風に乗って漂ってきたり、地元の人が犬とじゃれ合っている様子が目に入ったり。そのひとつひとつに立ち止まることができるのも、ひとり旅ならではの贅沢です。

旅先では、自然と「自分の感覚」に耳を傾けるようになります。

大自然の中で風に揺れる木々を見つめたり、川の音に耳をすませたり、時にはノートに思い浮かんだことを静かに書き出してみたり。誰の視線も、評価も気にせず、自分の心のままに過ごせる時間は、大人になるにつれてどんどん貴重なものになっていくように感じます。

日常生活の中では、私たちはどうしても「誰かのため」に動く場面が多くなります。

「会社の都合」「家族のスケジュール」「社会的な責任」など。それらはもちろん大切なことですが、そのなかで「本当は自分がどうしたいのか」が後回しになってしまうこともあるのではないでしょうか。

ひとり旅では、そうした“外側の声”が一度シャットアウトされ、「いま、自分は何を感じているのか」「自分はどうしたいのか」という“内側の声”にじっくりと耳を傾けることができます。

特に、スマートフォンやSNSから少し距離を置いて旅をしてみると、驚くほど感覚が研ぎ澄まされていくのを感じます。

私自身、旅先でノートを広げて日々の気づきを書き留めるのが習慣になっています。

どんな風景に心が動いたか、どんな人との出会いが印象に残ったか。「最近、何をしているときが一番楽しい?」「これから、どんな人生を歩みたい?」そんな問いかけを自分に投げかけ、答えを探す作業は、まるで自分自身との会話のようです。

旅先での「自分時間」は、単なる自由時間ではありません。それは、自分を大切に扱い、自分を再確認するための、豊かで贅沢な時間なのです。

普段見過ごしていた感情や価値観、挑戦したいと思っていたけど一歩踏み出せなかったことなど。そういった“わたしの本音”がふと顔を出してくるのも、心が静かに整っている旅のときならでは。

ひとりで旅をすることは、決して寂しいことではありません。

むしろ、自分とちゃんと向き合う勇気を持ち、自分の人生に責任を持つ第一歩。「自分のための時間を持つことって、こんなにも豊かで愛しいものだったとは」と気づかせてくれる体験です。

5.「違い」は壁ではなく、世界を広げる扉になる

異文化に触れると、自分の「常識」が揺らぐ瞬間があります。食べ方、あいさつの仕方、時間の感覚など。どれも違っていて、初めは戸惑いを感じます。けれどやがて、「違うって面白い」と思えるようになるのです。

たとえば、私が数週間滞在したスリランカでは、食事の際に右手の親指・人差し指・中指の3本を使ってごはんとおかずをよく混ぜて口に運ぶのが一般的でした。その作法を初めて知ったときは、「自分にできるだろうか?」「手で食べて本当においしいの?」と戸惑い、心の中で葛藤したのを今でも覚えています。

でも、「郷に入っては郷に従え」という言葉のとおり、せっかくの機会だからとみようみまねで数日間挑戦してみることにしました。

すると不思議なことに、次第に手で食べることに慣れてきて、むしろナイフやフォークを使うよりも料理をおいしく感じるようになったのです。まさに、「違う」ことの中に、驚きと楽しさがあった瞬間でした。

異文化との違いを「壁」として拒むのではなく、新しい「窓」として受け入れることで、自分の世界は大きく広がっていきます。

そのとき、自分の中の「これが正しい」という思い込みが少しずつゆるみ、「正しさのかたちは一つではないのだ」と実感できるのです。

こうした経験は、ただの価値観の転換ではなく、「違いを楽しめる心の余裕」や「他者への寛容さ」を育ててくれる、大切な学びだと感じています。

6.一人でいることと、孤独は違う

旅をしていると、ふと「自分は今、ひとりだな」と強く実感する瞬間があります。

それは、にぎやかな観光地やレストラン、家族連れやグループが楽しそうに写真を撮っている場面で、ひとりでいる自分がふと浮いているように感じるときかもしれません。

タイで訪れたアンコールワットの遺跡群でも、そんな感覚を覚えたことがありました。あたりは観光客であふれていて、カップルやグループが楽しそうに写真を撮っている中、自分だけがひとりでカメラを構えている。

一瞬、「なんだかさびしいな」と感じたのを覚えています。でもその感覚は、意外なほどすぐに変わっていきました。

誰かに合わせることなく、自分の歩幅で歩き、自分が見たいものを見て、好きなタイミングで休憩を取る。誰かと話さなくても、遺跡に沈む夕日を静かに見つめているだけで、心が満たされていくような感覚。

その時間は「孤独」というよりも、“静かで満ち足りた幸福”として、私の中にすっと広がっていきました。

「一人でいること」と「孤独であること」は、似ているようで実はまったく別物。ひとり旅は、その違いを教えてくれます。

一人の時間には、自分の中にある本音や感情がふっと浮かび上がってきます。

普段は誰かと過ごす時間に紛れていた「本当はこうしたい」「こんな未来を描きたい」というような思いが、静かに顔を出してくるのです。

そんなとき、私はよくノートを開いて、思い浮かんだ言葉をそのまま書きとめます。それは誰に見せるわけでもなく、自分の心を見つめる作業です。

また、誰かと一緒にいるときには気づかない風景や音、においにも敏感になります。木々が風に揺れる音、屋台から立ちのぼるスパイスの香り、現地の人々の何気ない会話。そんな一つひとつが、まるで心に染み込むように深く記憶に残っていきます。

もちろん、ひとりで旅をすることには少しの勇気が必要です。誰にも頼れない場面もあるし、寂しさを感じる瞬間もあるでしょう。

でも、それを乗り越えていく中で、自分自身との信頼関係が育っていくのです。「私は、私のままで大丈夫だ」と思えるようになること。それは、大人になってからこそ得られる、かけがえのない感覚だと思います。

人と一緒にいることが“当たり前”になっている日常から少し離れて、自分ひとりで世界に触れてみる。その経験は、ひとりでいることの「怖さ」ではなく、「心地よさ」や「自由さ」に気づかせてくれます。

ひとりでいることは、決して孤独ではありません。むしろ、自分の存在をまるごと受け入れるための、豊かでかけがえのない時間なのです。

7.帰る場所があるという幸せ

旅の終わり、飛行機が着陸して、日本の空港に降り立った瞬間。

見慣れた文字、聞き慣れた言葉、懐かしい空気に、思わずほっとした自分がいました。旅に出たからこそ、日常のありがたさに気づく瞬間です。日本での日常は、決して派手ではないかもしれません。

でも、コンビニに立ち寄れば清潔で安全な商品がずらりと並び、道にはゴミひとつ落ちていない。水道をひねれば飲める水が出て、交通機関はほぼ時間通りに運行される。

こうした「当たり前」は、世界の多くの場所では、決して当たり前ではないのだということを、旅先で痛感しました。

例えば、インドでは飲み水の確保に気をつかい、タイでは交通の乱れや人の多さに戸惑いました。

そうした不便さやハプニングも旅の一部ではありますが、日本に帰ってきて改めて感じるのは、「整っている」ということのありがたさです。その安心感に包まれると、「ああ、日本に帰ってきたな」と実感します。

もちろん、旅は素晴らしいものです。新しい文化に触れ、異なる価値観に出会い、自分自身を深く見つめる時間にもなります。

でもそれと同時に、自分が生まれ育った土地や、普段何気なく過ごしている環境が、いかにかけがえのないものであるかにも気づかせてくれます。

そして、その「気づき」があるからこそ、日常がまた輝きを取り戻すのだと思います。

帰宅して玄関の扉を開けた瞬間の、あの独特の空気。淹れたての日本茶の香り、ふと耳に入る家族の声、慣れたベッドの感触。どれもが、自分にとって唯一無二の「安心」をくれるものです。

遠くへ旅することで、原点に立ち返る。日常を見つめ直し、心の底から「ただいま」と言える場所があることの尊さに、改めて気づく。

旅とは、どこか遠くへ行くためのものではなく、「自分の場所」や「自分らしさ」を再確認するための時間なのかもしれません。

帰る場所があるという幸せ。

それは、旅をしたからこそ心から感じられる、静かであたたかな喜びです。

まとめ

ひとり旅は、決して派手な冒険ではないかもしれません。でも、その静かな時間の中で得た気づきや出会いは、人生の中で長く残る宝物になります。

不安があっても、言葉に詰まっても、迷ってもいい。すべての瞬間が、心を豊かにしてくれるのが旅です。

もし、今なにかに迷っていたり、立ち止まっていたりするなら、少し日常から離れて、ひとりで旅に出てみるのもいいかもしれません。

きっと、あなた自身がまだ知らない“あなた”に出会えるはずです。

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