犬のフン処理の重要性と正しい方法。「罰金請求」される可能性も

犬を飼う人にとって、犬のフンの片付けは欠かせない責任です。

正しく片付けないと、周囲の環境や他の人々に不快感を与えるだけでなく、最悪の場合「罰金」を支払うことにもなります。

そこで、この記事では「犬のフンを片付けなかった際に起きうる問題」について詳しく紹介するとともに、「犬のフンの正しい片付け方」を改めて確認していきましょう。

■犬のフンを片付けなかった際に起きうる問題

犬を飼育すると楽しく幸せなことも多いですが、命ある生き物を育てるということには責任も伴います。

その中でも、犬のフンを片付けないことがもたらす「問題」は決して軽視できません。

犬のフンを放置することは、飼い主を含めた人間だけでなく、飼い犬にも様々な問題を引き起こす可能性があります。

そこでまずは「犬のフンを片付けなかった際に起きうる問題」について紹介していきたいと思います。

 1.公共の場で犬のフンが放置されると……

「犬のフンが落ちている場所」を考えたとき、公園や道端などの公共の場所を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?

犬のフンが公共の場に放置されると、見た目が汚く不衛生であるため、周囲の人々に視覚的な不快感を与えます。

さらに犬のフンは強烈な臭いを放ちます。

公共の場で犬のフンが放置されると、その臭いが広がるだけでなく、公園等に訪れた人々が犬のフンを踏んでしまうことでより広い範囲に臭いが波及してしまう恐れがあります。

2.衛生的に大きな被害が生まれる可能性

犬のフンを放置した際に起きうる問題は異臭だけではありません。

「健康上のリスク」の面でも大きな被害が生まれる可能性があります。

犬のフンには、細菌、寄生虫、ウイルスなどが含まれています。

これらの病原体が人間の体内に侵入することで、感染症が引き起こされるリスクがあります。

例えば、犬のフンに含まれる寄生虫であるトキソプラズマやユニコシスティスなどは、人間に感染して病気を引き起こす可能性があるとされています。

また犬のフンに含まれる細菌や寄生虫が口や消化器系に侵入することで、大腸炎や胃腸炎などの消化器系の疾患を引き起こすリスクがあるようです。

他にも犬のフンに含まれる細菌が皮膚に付着することで皮膚感染症を引き起こすリスクや、犬のフンを吸い込むことでアレルギー性鼻炎や気管支喘息などのアレルギー症状を引き起こす可能性も。

さらに犬のフンが地面に放置されると、土壌が汚染されるリスクがあります。

これにより、野菜や果物などの作物が病原体に汚染され、食品安全に関わる問題が発生する可能性があります。

特にこの土壌汚染に関しては、犬のフンを処理しなかったことでゆっくりじわじわと土壌を汚染していくため、他の被害に比べるとわかりにくいですが、有害物質や細菌が作物に吸収されてしまうなど、大きな被害を発生させてしまう可能性があります。

3.最悪の場合「罰金の支払い」を命じられることも

日本の多くの地方自治体では、犬のフンを放置することを禁止する条例が制定されています。

例えば、東京都では「都道条例」として、公共の場での犬のフンの放置が禁止されており、条例に違反した場合、地方自治体から「警告」される可能性があります。

これは条例違反による「警告」で済めば良いですが、「軽犯罪法」や「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)においても犬のフンの処理に関する記述があるため、犬のフンの放置は「犯罪」に当たります。

中でも「廃棄物処理法違反」に問われた場合、刑罰は最高で懲役5年、罰金でも1000万円以下とかなり重いことで知られています。

廃棄物処理法には「みだりに」という要件に該当する必要があるものの、法的には「社会通念上正当な理由があるとは認められない場合」を意味するため回数が問われない可能性もあるようです。

4.飼い犬にも大きな被害が出ることも

先ほど、犬のフンを放置すると様々な健康リスクが発生する可能性があると紹介しましたが、健康リスクが害される可能性があるのは人だけではありません。

犬が自身のフンに触れたり舐めたりすることで、細菌や寄生虫の感染リスクが増加します。

特に、フンが生じた場所が犬の生活空間である場合、その環境が病原体の温床となり、消化器系の疾患や皮膚感染症などが引き起こされる可能性があります。

また、犬は自身の排泄物を匂いで認識し、排泄行動を通じて自己表現を行うことがあります。

そのため、犬のフンが放置されたままだと、犬は不快感や不安を覚える可能性があります。

特に、トイレの場所を確保することに対する犬の自然な欲求が阻害されることで、ストレスが増大することも……。

他にも、トイレトレーニングの混乱が起きる可能性もある模様。

犬は環境の中でフンを探して排泄することが自然な行動とされています。

フンが放置されたままだと、犬のトイレトレーニングに混乱が生じる可能性があり、フンが放置された場所を誤ってトイレと認識してしまうことも。

犬は本来、清潔な場所で排泄を行うことを好みますが、放置されたフンが周囲にある場合、トイレへの不信感が生じることがあります。

その結果、犬がトイレに行きたくても、放置されたフンがトイレの近くにあると排泄を我慢してしまい、ストレスを感じて健康や行動に影響を与える可能性があるようです。

また犬が誤った排泄場所を学習してしまうと、正しいトイレの場所を教えるのに時間がかかることがあります。

犬のトイレトレーニングは一貫した指導と繰り返しを必要としますが、放置されたフンがある場所で排泄を続けることで、トイレの教育が困難になる可能性もあるようです。

5.犬を飼う上で大切な「マナー」

犬のフンを片付けなかった際に起きうる問題は多岐にわたりますが、それらを避けるためには適切なマナーが必要です。

犬のフンを放置することは、周囲の人々や利用者への配慮不足を示します。

公共の場では、他の人々が気持ちよく利用できるよう、自分のペットが残したフンを適切に処理することが重要と言えるでしょう。

また、犬のフンを放置することは、地域社会との信頼関係を損なう可能性があります。

地域の住民や利用者が犬のフンを放置する飼い主に対して不快感や不信感を抱くことで、コミュニティ全体の信頼関係が損なわれることになると言えます。

公共の場で犬のフンが放置されると、衛生面や健康リスクに加えて、法律違反の問題や犬自身への被害も引き起こされます。

犬のフンを放置することは、個々のマナー違反だけでなく、地域社会全体に影響を及ぼす問題になりえます。

そのため、飼い主は犬のフンの適切な処理を行い、公共の場を清潔で快適な環境に保つことが重要と言えるでしょう。

■正しい犬のフンの片付け方

ここまで犬のフンを放置した際に起こる可能性がある問題について、様々な視点から説明してきました。

マナー面や衛生面だけでなく、飼い主や飼い犬の健康を害する可能性や、土壌汚染による食品安全のリスク、条例・法律違反となって最悪の場合「罰金」を支払わなければならなくなるなど、実害が発生する可能性も大いにあります。

そこでここからは正しい犬のフンの片付け方を詳しく紹介していきたいと思います。

これを読んで、安全かつ適切に犬のフンの処理ができるようになりましょう。

1.犬のフンを片付けるために必要な道具とは

犬を飼っている飼い主にとって、犬のフンの片付けは欠かせない日常の作業です。

しかし、適切な道具を使わないと手間がかかったり、衛生面でのリスクが高まったりすることもあります。

そこでここでは犬のフンを片付けるために必要な道具について解説していきます。

犬のフンを片付ける際には、ポーチやビニール袋が必須です。

フンを包んで持ち運び、適切な場所に処理することができます。

ポーチやビニール袋はコンパクトで持ち運びやすいので、外出時には常に携帯しておきましょう。

犬のフンは臭いが強いため、片付けた後に消臭スプレーを使うと良いでしょう。

周囲の臭いを軽減し、衛生面を保つことができます。

また犬のフンは上でも説明した通り、様々な病気を引き起こす菌を持っています。

直接手で触るのは衛生的にも好ましくありません。

そのため、ゴム手袋を着用することをおすすめします。

ゴム手袋を使うことで、手を汚すことなくフンを処理することができます。

犬のフンを片付ける際には、専用のトイレットペーパーを使うと便利です。

通常のトイレットペーパーよりも丈夫で、フンをしっかり包み込むことができます。

また、吸水性が高いため、フンを適切に処理することができます。

犬のフンを片付けた後は、それを持ち運ぶためのバッグが必要です。

特に長時間外出する場合や遠くのゴミ箱まで持ち運ぶ場合には、頑丈で使いやすいバッグを選びましょう。

また、洗濯可能な素材のバッグであれば、清潔さを保ちやすく便利です。

以上が、犬のフンを片付けるために必要な道具です。

これらの道具を使うことで、衛生面や環境面を考慮しながら、犬との快適な生活を送ることができます。

2.適切な犬のフンの処理方法

犬のフンを片付ける上で必要な道具については上記で説明したものを用意すれば準備は完了! 

そこで次は本記事の本命である「適切な犬のフンの片付け方」について詳しく紹介していきます。

犬がフンをしたり、フンを発見したらできるだけ早く片付けを行いましょう。

上記でも説明した通り、放置することで周囲の環境や他の人々に迷惑をかける可能性があります。

すみやかに処理することが重要です。

フンを処理するためには、ポーチやビニール袋を使用してフンを包みましょう。

直接手で触れないようにするためにも、ゴム手袋を使用してフンを包むことで周囲の衛生環境を保ち、持ち運びやすくすることができます。

あとはフンをビニール袋をゴミ箱に捨てるだけ! 

フンを捨てた後には、消臭スプレーを使用して周囲の臭いを軽減しておくと良いでしょう。

また、フンを処理した後は、手をしっかり洗いましょう。

同記事では何度も説明していますが、犬のフンには目に見えない細菌が含まれている可能性があるため、しっかりと手を洗い、アルコール消毒まで併用すれば完璧です。

3.犬のフンの正しい捨て方

ここまで犬のフンを放置した際に起きうる問題に触れた上で、正しい犬のフンの片付け方について紹介してきました。

これで犬のフンの片付け方は完璧! 

と思うかもしれませんが……犬のフンは「捨てるまで」が正しい片付け方と言えるでしょう。

ということで、最後に犬のフンの正しい捨て方について説明していきます。

まず犬を飼い始めてすぐのタイミングで「犬のフンって何ゴミに出せば良いの?」という疑問を抱いた人もいるのでは。

犬のフンは、一般の可燃ごみやペットのフン専用のゴミ袋に捨てることが一般的です。

ただし、地域によっては異なる規定がある場合もあるため、地域のごみ収集のルールを確認することが大切です。

また、公共の場では特に指定されたペット用ゴミ箱に捨てるようにしましょう。

また、犬のフンはビニール袋に入れたとしてもうっすらと匂いが漏れ出てしまうケースも少なくありません。

そこで犬のフンをゴミに出す際に臭いを漏らさないためには、密閉性の高いゴミ袋やポーチを使用することが重要です。

場合によってはビニール袋に入れた上でジップロックに入れて捨てると臭い漏れをより遮断することが可能になります。

なお、もちろん例外もあります。神奈川県横浜市では犬のフンをゴミに出さず、トイレに流すことを推奨しています。

しかし、一般的なトイレットペーパーは水に浸すと容易に分解する性質を持っていますが、犬のフンは水に溶けにくく分解されにくい場合があります。

そのため、トイレットペーパーで包んだ犬のフンがトイレの中で溶けずに堆積すると、トイレの詰まりの原因となることも……。

また一部のトイレでは排水システムの性能が低いものもあり、トイレットペーパーに包まれた犬のフンがトイレに流れ込んだ際に流しきれず、トイレが詰まってしまう可能性もあります。

そのため、犬のフンをトイレに流す前に一度トイレの水流の強さを確認することをオススメします。

さらに、施設全体で犬のフンをトイレに流すことを禁止されているケースもあります。

そのため、まず、犬のフンをトイレに流すことが許可されているかどうかを確認することも大切です。

■まとめ

犬を飼う人にとって、犬のフンの処理は責任の一部です。

フンは放置されると、周囲の環境や健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、飼い主は責任を持って速やかに処理することが重要です。

公共の場では特に、他の人々や動物への配慮が求められます。

犬のフンを適切に処理することで、清潔で快適な環境を保ち、地域社会との信頼関係を築くことができます。

地域の規定を遵守し、マナーを守りながら、皆が安心して暮らせる地域を実現しましょう。

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