【2024年2月】現代女性におすすめしたい小説10選

SNSやサブスクなど、娯楽であふれている現代だからこそ、本を読んでみませんか? 

男女平等の実現に向け、多くの女性差別が問題視されている現代を戦うあなたに読んでほしい作品たちを集めました。 

本の世界を通して、ぜひ、自分自身と対話してみてください。 

①推し、燃ゆ/宇佐見りん 

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」 

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。

アイドル上野真幸を“解釈“することに心血を注ぐあかり。

ある日突然、推しが炎上し——。 

第164回芥川龍之介賞受賞作。推しの幸せが私の幸せ。推しが笑えば私もうれしい。

じゃあ、推しがいなくなったら?急に背骨を抜かれてしまったら、どう身動きをとればいいのでしょうか。

好きという言葉では言い表せないほどの愛情、推しを応援することだけに心血を注いでいる主人公の様子や心情が読んでいて苦しくなるほどに細かく描き出されています。

あなたには、「推し」はいますか?

現実を生きている人を応援する以上、あなたの推しにもスキャンダルが発覚するかもしれません。

明日には自分がこの物語の主人公になっているかもしれない、リアルで生々しい恐ろしさが魅力の小説です。

推しがいるあなた、現実世界で生き辛さを感じているあなたに読んでみてほしい作品です。 

②プリティが多すぎる/大崎梢 

少女向けファッション誌の新米男子編集者・佳孝はくせ者揃いのスタッフや年下のモデル達、かわいい洋服や小物に囲まれ悪戦苦闘! 

少女向け雑誌の編集部に異動となってしまった新米編集者、佳孝の奮闘記です。

希望通りの仕事内容とは言えず、はじめはやる気のでない佳孝でしたが、真摯に仕事に向き合う人々に触れ、彼の意識も変化していきます。

一見キラキラしていて華やかな世界でも、ふたを開けてみれば、努力しても報われるかわからない、厳しいリアルが広がっています。

キャッチーでインパクトのあるタイトルと表紙にかわいらしい印象を受けますが、内容はプロたちの努力と誇りの詰まった正真正銘のお仕事小説です。

慣れない「かわいい」だらけの世界で懸命に働く主人公や、信念をもって仕事に取り組む登場人物たちにパワーをもらえる作品です。

興味のある仕事ややりたい仕事ばかりではなくても、前を向いて本気で頑張ろうと思わせてくれる一冊です。

千葉雄大さん主演でテレビドラマ化しているので、ぜひそちらもあわせてチェックしてみてください。 

③君の膵臓をたべたい/住野よる 

偶然、僕が病院で拾った1冊の文庫本。タイトルは「共病文庫」。 

それはクラスメイトである山内桜良が綴っていた、秘密の日記帳だった。 

そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。 

病を患う彼女にさえ、平等につきつけられる残酷な現実。 

【名前のない僕】と【日常のない彼女】が紡ぐ、終わりから始まる物語。 

全ての予想を裏切る結末まで、一気読み必至! アニメ映画、実写映画にもなった大人気作品です。

読んだことがなくても、名前は聞いたことのある方が多いのではないでしょうか。

偶然出会った正反対のふたりは、互いに惹かれあっていきます。

余命僅かとは思えないほどに天真爛漫で明るい彼女と出会い、主人公の「僕」は成長していきます。

死は平等に訪れる、とはよく言ったものですが、本当にそうなのでしょうか。

高校時代の青春を描いた王道の爽やかなボーイ・ミーツ・ガール作品でありながら、命について、生きる意味について、深く考えさせられます。

文自体も読みやすく、ゆっくりと作品の世界に浸ることができるので、普段本を読まれない方もぜひ挑戦してみてください。

一度は読んでほしい感動の名作です。 

④レモンと殺人鬼/くわがき あゆ 

十年前、洋食屋を営んでいた父親が通り魔に殺されて以来、母親も失踪、それぞれ別の親戚に引き取られ、不遇をかこつ日々を送っていた小林姉妹。 

しかし、妹の妃奈が遺体で発見されたことから、運命の輪は再び回りだす。 

被害者であるはずの妃奈に、生前保険金殺人を行なっていたのではないかという疑惑がかけられるなか、妹の潔白を信じる姉の美桜は、その疑いを晴らすべく行動を開始する。 

第21回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作。

SNSでも話題になった最新ミステリー作品です。まさに大どんでん返し。

二転三転どころではない話の展開にどんどん引き込まれていきます。

美桜たち家族はなぜ離れ離れになってしまったのか、妹の妃奈はなぜ死んでしまったのか、保険金殺人の真相は一体なんなのか…。

主人公を取り巻く様々な謎が解明されていく様子は、気持ちの良い納得と登場人物たちの薄気味悪さを同時に感じることができます。

愛情、嫉妬、執着、本当に恐ろしいのは人間なのかもしれません。

目まぐるしく変わっていく状況に、最後までドキドキハラハラしながら読み進めることのできる小説です。

まくしたてるような伏線回収をぜひ楽しんでください。

妹の潔白を証明しようと奔走する姿は、美しい姉妹愛なのでしょうか、それとも____。 

⑤わたしにあいたい/西加奈子 

西加奈子がすべての人に贈る、8つのラブレター。 

この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の体を愛おしいと思う。

「わたし」の体と生きづらさを見つめる珠玉の短編小説集。わたしを生きるための言葉。 

現代を生きる女性だからこそ抱える悩みや問題が赤裸々に綴られている作品です。

2編目の「あなたの中から」では自分が“女”であることに拘り、努力し続けた女性の人生がたくましく、されど繊細に描かれています。

綺麗になる努力を惜しまないこと、女を売って生きること、他人の求める自分になること。

すべて自分で選んだ道として、あなたは受け止められますか?

他にも、VIO脱毛を決心する女性の話や異国の地で乳がんの手術を受ける話、フェミニズムに目覚めた母親を持つ娘の話など、どの物語もリアルで生々しい描写の中に、女性の持つ美しさや強さがありありと表現されています。

自分を好きになること、自分を肯定して受け入れることができたとき、人は己にかかった呪いを解くことができるのかもしれません。

自身も闘病生活を送られていた西加奈子さんだから描けた一冊なのではないでしょうか。

フィクションの中にも本人の体験が落とし込まれているように感じました。

1編が短めでサクサク読み進めていけることもおすすめのポイントです。

わたしとはなにか、女であるとはどういうことなのか、生きるとはなにか、ぜひ考えてみてほしいです。 

⑥52ヘルツのクジラたち/町田その子

52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。

何も届かない、何も届けられない。そのためこの世で一番孤独だと言われている。 

自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。

孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。 

2021年本屋大賞第1位の作品であり、今年の3月には杉咲花さん主演の映画も公開予定です。

この作品の大きなテーマとして「児童虐待」が挙げられます。

家族からの愛を渇望していた貴瑚が、「ムシ」の境遇に共感し、52ヘルツの鳴き声に耳を傾けようとしたのは、彼女も誰かに自分の鳴き声を聞いてもらえたからなのです。

一人で強くなる必要なんてない、誰かに助けを求めることも、時には逃げることも正しい戦い方なのだと、励まし、肯定してくれるような小説です。

胸が締め付けられるような内容ですが、その中に確かに存在する、人の温もりや優しさに気付くことができます。

誰かが与えてくれた思いや希望を、私も誰かに繋いでいきたいと思わせてくれる一冊です。

あなたの声に耳を傾けてくれる人はいますか?

あなたは隣にいる人の声に耳を傾けられていますか?

⑦本屋さんのダイアナ/柚木麻子

私の呪いを解けるのは、私だけ――。

すべての女子を肯定する、現代の『赤毛のアン』。

「大穴(ダイアナ)」という名前、金色に染められたバサバサの髪。

自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と彩子だけが光を与えてくれた。

正反対の二人だけど、私たちは一瞬で親友になった。

そう、“腹心の友”に――。

自分を受け入れた時、初めて自分を好きになれる! 試練を越えて大人になる二人の少女。

最強のダブルヒロイン小説。 

自分を認めて、強くなれる力を授けてくれる、なんどもなんども読み返したくなる物語です。

自分の名前、容姿や能力。

今を生きる多くの人がなにかしらのコンプレックスを抱えて生活しているのではないでしょうか。

小さかった少女たちが挫折を経験し、大人になっていく過程に、きっとあなたも勇気づけられます。

ダイアナと彩子、すべてが正反対の二人の唯一の共通点は、文学を愛していること。

ないものねだりですれ違ってしまった二人をつなげてくれたのも文学の力です。

大切な友人に今すぐ会いたくなるような、幼いころ読んだ本をまた読み返したくなるような、記憶の中の思い出の宝箱をそっと開けてくれるような作品です。

社会人のあなたはもちろん、学生のあなたにもぜひこの本を手に取っていただきたいです。 

⑧生を祝う/李琴峰 

「あなたは、この世界に生まれてきたいですか」 

子どもを産むためには、その子からの同意が必要となる世界を舞台にした衝撃作。 

胎児の同意を得なければ出産できないという、今では考えられない、しかし起こりうる近未来を舞台にした物語です。

近年、「親ガチャ」という言葉をよく目にします。

こんな人生は嫌だと、生まれてこなければよかったと、そう後悔したことがある方もいるかもしれません。

親の職種や性格の相性、予想される外見や能力をもとに生存難易度が数値化され、生まれてくるかを選択できるこの法案にあなたは賛成しますか?

自分で生まれてくることを決めたのだと思えば、頑張れることもあるでしょう。

事前に生まれてくるかを選べるこの制度は、胎児のあなたにとっては魅力的かもしれません。

では、もしあなたの子どもが生まれてくることを拒否したら、あなたは受け入れることができますか?

自分のお腹の中で大切に育ててきた子どもを産みたいと願うのは母親のエゴなのでしょうか。

出産とは、新たな命を生み出すことは幸せなことなのか、とても考えさせられる作品です。

⑨嫌いなら呼ぶなよ/綿矢りさ 

「一応、暴力だろ。石でも言葉でも嫌悪でも」。

妻の親友の家に招かれた僕。

だが突然僕の行動をめぐってミニ裁判が始まり……心に潜む “明るすぎる闇“に迫る綿矢りさ新境地!  

最年少で芥川龍之介賞を受賞した綿矢りささんの短編集です。

他人の脳内をのぞき見している気分になれるような、毒舌でありながらもテンポよく読み進めることのできる作品です。

とんがった世界観とキレキレな語彙に綿矢りささんの良さが詰め込まれています。

不倫してしまった夫を友達と一緒に糾弾する妻の話や、youtuberにアンチコメントを書き込むファンの話、整形依存症の女の子の話など、癖のある登場人物たちから毒気と笑いを投げつけられるような作品です。

決してきれいな感情ではないけれど、共感できてしまう、自分のストレスを代わりに吐き出してくれる言葉たちに救われる方もいるかもしれません。

コロナ渦を舞台にしており、「ぴえん」「時すでにお寿司」などの流行語も数多く出てくるTHE・現代小説で、まさに”明るすぎる闇“という表現がぴったりの一冊です。 

⑩アルジャーノンに花束を/ダニエル・キイス

32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。

そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。

大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。

この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。

やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが…超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代の聖書(バイブル)。 

いわずと知れた不朽の名作です。幸せとは、知識を得ることではなく、ただ寄り添って自分のことを認めてくれる存在に出会えることなのだと、改めて痛感させられます。

始めは誤字だらけで読むこともままならない彼の経過報告は、徐々に綺麗な文章へと整えられていきます。

周囲の人々はそのままで、自分の世界だけが変わってしまったとき、人は気付かなくてもよかったことに気付いてしまいます。

チャーリイは、賢くなった頭脳で何を思うのでしょうか。

彼とアルジャーノンの実験は、どんな最後を迎えるのでしょうか。

何度でも読み返したくなる一冊です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 

紹介させていただいたどれもが胸を張っておすすめできる作品です。 

もし一冊でも興味を持ってお手に取っていただけたら幸いです。 

あなたに元気や勇気を与えてくれる、あなたに寄り添ってくれる、そんな小説が見つかることを心から願っています。 

最後までお読みいただきありがとうございました。 

ぜひ、素敵な読書時間をお楽しみください。 

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