犬のボディランゲージ~犬の気持ちや感情を知ろう~

1.犬のボディランゲージって何?

犬は人と言葉を使いコミュニケーションを取ることが出来ません。私たちが犬に対して、「おはよう」、「元気?」、「かわいい」などと、話しかけても、彼らは、私たちの話す「単語」の意味が理解出来ません。

彼らは、「おはよう」、「元気?」、「かわいい」などの単語を一つの「音」として認識しています。

また、私たちが「かわいい」と話しかけたとき、彼らは、私たちの表情、声のトーン、身振り手振りや周りの状況を見て、私たちがどんな気持ちなのかを把握しています。

「かわいい」と犬に声かけをするとき、私たちは怒った顔や低い声は出さないですよね。「今日もかわいいね」と声をかける時は、優しい眼差しと心地の良い声のトーンで犬に話しかけているはずです。

優しい表情や声で話かけられたら、私たち人間だって嬉しいし、安心します。 

これがボディランゲージです。私たち、人間も日常生活の中でたくさんボディランゲージを使ってます。犬は言葉が話せないので、体全体を使い、彼らの感情や気持ちを一生懸命私たちに「メッセージ」として伝えてくれているのです。 

そのメッセージを読み取ることで私たちも犬が伝えたいことを汲み取ってあげることが出来るし、正しくボディランゲージを私たち側も使うことができれば、私たちが伝えたいことを犬に伝えることも可能なのです。

2.犬も人間と同じ感情を持っている

私たちと同じ感情を犬も持っています。嬉しいときは嬉しい、悲しいときは悲しい、寂しいときは寂しいと私たちが感じるように、犬も嬉しいときは嬉しい、怖いときは怖いと感じます。

私たちと同じ感情を犬も感じることが出来るからこそ、人間も犬を理解することが出来るし、犬も人間を理解することが出来ます。私たちは感情を共有することが出来ます。

でも、感情を共有する前にまずはお互いを理解し、尊重し合うことが、たとえ相手が犬や動物でも大切です。

相手のことを知りたい、分かってあげたい、という気持ちを持っていれば、犬が発しているボディランゲージを読み取ったり、理解してあげることができ、犬と上手にコミュニケーションが取れるようになってきます。

3.犬のボディーランゲージの重要性

犬のボディランゲージを読み取ることが出来るようになると、犬との生活がより豊かになります。また、犬の問題行動を事前に防ぐことが出来たり、病気の早期発見にも繋がります。

犬のボディーランゲージを理解してあげる、読み取ってあげることは、犬のニーズに応えてあげることです。

それは、私たち人間や犬を飼っている飼い主の責任です。首輪やリードをつけてあげるとき、犬が噛んだり、唸ったりすることはありませんか?

「犬が噛む」、人に牙をむけることはよくないことです。その「噛む」ということをする前に何かしらのサインを彼らは発しているはずです。

その小さなサインに気付いてあげることが出来れば、犬も噛まずに済むし、飼い主も咬まれなくて済みます。些細な犬のメッセージに気付くことで事前に問題行動を防ぐことが出来ます。

また、食欲がない子や、歩き方がおかしいなどの体調に関わることも、ボディランゲージをしっかり見れていれば、病気なども早期発見に繋がります。

4.深まる信頼関係

犬のボディーランゲージを理解して、彼らの気持ちを汲み取ってあげることで、犬が人間に対して良い印象を持つことができます。

私たちは自己紹介や事前に知り合いなどから聞いた情報を通して、初めて会った人でも、「この人と話してみようかな」と思うことが出来ますが、犬は、人間の言葉が分からないので、初めて会った人が「安全かな?」「危ない人かな?」と耳、目や感覚などから確認してます。

だからこそ、私たちが犬が発しているメッセージを汲み取ってあげることが出来れば、初めて会った犬を怖がらせることもないし、より犬と仲良くすることが出来ます。

犬も「この人は気持ちを分かってくれる」という安心感から、人を信用し、その積み重ねで、人と犬との信頼関係もより強くなるでしょう。

万が一、人間が犬が伝えてることを上手く汲み取ることが出来ず、誤った解釈をしたままコミュニケーションを取り続けてしまうと、知らず知らずのうちに犬との関係にヒビが入ってきてしまうことがあるので、その辺りは人間側が注意しなくてはいけません。

だからといって、私たちばかり犬の気持ちを理解したり、汲み取るのでは公平ではありません。私たちが正しいボディーランゲージを使い、伝えることができれば犬も私たちのことを理解してくれます。

お互い譲り合って、尊重し合う協力する関係性が人と犬の信頼関係をより強くしていくのに欠かせないことです。

5.ボディランゲージとカーミングシグナ

ボディランゲージとは別にカーミングシグナルという犬が出すメッセージもあります。ボディランゲージは犬が体全体を使い感情を相手に伝えるコミュニケーション方法です。

ボディーランゲージには、「嬉しい」、「楽しい」、「怖い」などの彼らの気持ちや感情を表しています。

一方、カーミングシグナルは、ボディーランゲージとは異なり、犬が不安や恐怖などのストレスを感じた際に、自分を落ち着かせるために使います。

自分にだけではなく、「私はあなたに敵意はないから落ち着いて」というように、相手に落ち着いて欲しいと伝えたい時にも使います。

犬がカーミングシグナルを出している時は、ストレスを抱えている状態です。こういう状況も良く目にします。犬に向かって、「こっちきて!」と大きくムキになって呼んでしまった時、犬はどんな様子ですか?

恐らく、彼らは、顔を私たちから背け、あくびをしたり、唇をペロッて舐めたりして、私たちに対して、「そんなに大きな声を出さないで落ち着いて」と言っているでしょう。

犬は大きな低い声や、ムキになって声を出されたりすると、とても不快に感じてしまいます。

もし、大きな声を出してしまい、犬がカーミングシグナルを出していると気付いたときは、小さい声に切り替えたりしてあげて下さい。

それだけで犬は「分かってくれた」という気持ちになるでしょう。良く目にするカーミングシグナルは「鼻をペロッって舐める」、「あくび」、「思いっきり体をブルブル振る」です。 

6.犬の表情を観察しよう 

まずは、犬の表情を見てみましょう。あなたから見て犬はどんな表情をしていますか? 

●怖がっていますか? 

●不安がっていますか? 

●楽しんでいますか? 

●悲しがっていますか? 

犬も人間と同じで私たちに色んな表情を見せてくれます。緊張をしている時は眉をひそめたり、不安や怖い時は口角が引いたり、目が泳いでいたり、目が真ん丸になっていたり、顔にシワが寄っていたり、嬉しい時は笑った顔をしたり、悲しい時は目尻が下がっていたりなど。 

私たちも道端などで犬に遭遇したときは、まずは犬の顔=表情に目がいくと思います。感情や気持ちは顔の表情から分かります。

その時、犬が「今どんな気持ちなのかな?」、「どう思っているのかな?」と考えてみるだけで、犬の様子がわかってきます。

7.耳の動きに注目してみよう

表情と同じくらい耳の動きも重要です。耳の形や大きさは犬種によって異なります。立ち耳の子、垂れ耳の子、耳がクルっと丸まっている子。耳の形や大きさによって、聞こえ具合も変わってきます。

①両耳が真っ正面を向いて立ってるとき 

どこから音が聞こえているか、その音がこっちに向かってきているのかを集中しながら聞いています。何かしらの気配に警戒、緊張感を感じているときに両耳がピーンと張り詰めたように立ち耳になります。

②耳が音の方に向かって動いているとき

耳が音が聞こえてる方向に向かってあっちこっち動いているときは、何が向かってくるんだろう?どこから音がしているんだろうと音がどこから聞こえているのか聞いています。犬の耳が動いた方向を見てみると、何かしらその方向から音が聞こえるはずです。

➂両耳が後ろにぎゅっとひいているとき

両耳が後に押し付けるようにぎゅっと引いているときは、気持ちの不安や緊張があり、警戒しているときです。どちらかというと不安感が強いときに耳を後にぎゅっと引きます。

このようなボディランゲージを見たときは、「何に怖がっているのかな?」と、犬の様子をよく見てあげて、その不安や緊張の原因を取り除いてあげることで犬は安心することが出来ます。

犬は人間の何倍も聴覚が優れているため、私たちが聞こえないような音でも「怖いなぁ」と感じる程の大きさで聞こえます。犬の耳の様子をよく見て、両耳に緊張感があり何か集中して聞いている、

耳がいつもより動く、後ろにギュッと引いている、など犬が何か気にしている様子があれば表情も同時に見てあげて、「何かあるのかな?」と感じとってあげると犬も安心します。

8.犬の尻尾の位置を観察しよう

犬は彼らの感情や気持ちを尻尾の動きでも表現しています。犬が嬉しいとき、尻尾は緩やかに上を向いています。また、尻尾を上にあげながら滑らかに円を描くように尻尾を振っている場合も心穏やかな状態です。

逆に興奮しているときや緊張感、誰かが迫ってきているという警戒心を抱いているときは、尻尾をピーンと高々と上に向けながら先っぽを小刻みに激しく振ります。

尻尾の先の動きが激しくなればなるほど、興奮状態が高まっているというシグナルです。

また、落ち込んでいるときや、ショボンとした気持ちのときは、尻尾が真下に下がり、不安や恐怖感を感じた時は足と足の間に尻尾をインした体勢になり、同時に体も縮こまり、背筋も丸まっていて、私たちから見ても、「怖いんだな、不安なんだな」と感じ取ることができます。

また、何かに対して期待や興味を抱いているときは、尻尾が右に曲がっています。例えば、テーブルの上に食べ物が置いてあるとき、犬は「美味しそうだな、食べたいな」と尻尾を右に傾けます。

逆に不安や心配を抱いているときは尻尾を左に傾けます。

例えば、つまみ食いをしてしまい、飼い主さんと目が合ったときに、「あ、バレた怒られるかな?」という心配を抱いたときなど、尻尾を良く観察することで、私たちも彼らが「何を考えているか」ということが分かってきます。

尻尾のボディランゲージを見るときの注意点は、尻尾が上を向いているから、犬が嬉しい気持ちとは限らないということです。尻尾が上に上がっていても、興奮や緊張状態のときも尻尾は上を向いているときがあります。

犬が嬉しいときは、尻尾を緩やかに上に上げているので、その点、間違った解釈をしないように注意しましょう。尻尾といえばビーグル犬です。

ビーグル犬の尻尾のボディランゲージはとても分かりやすいので、ビーグルを飼われている方は愛犬の尻尾の動きをよく見ると、「今、どう感じているか」を分かりやすく表現して見せてくれているので、ボディランゲージがより理解しやすいです。

9.周囲の状況も確認しよう

ボディランゲージを理解することや犬の気持ちを汲み取ってあげることはとても大切なことですが、ボディランゲージを100%完全に理解してあげることは難しいです。

私たち人間も相手のことを100%分かってあげたくても、100%理解するのは難しいですよね。

だからこそ、ボディランゲージを読み取る上で周囲の環境、様子、状況、前後の様子から、「彼らはどういう気持ちであくびをしたのかな?」、「尻尾が上に上がってるのかな?」というように、今の状況と照らし合わせながら、彼らの発しているメッセージを読み取ってあげることで、犬の気持ちや感情を正確に分かってあげられます。

まとめ

私たち人間と犬は言葉を喋ってコミュニケーションを取ることが出来ません。ボディランゲージと聞くと、「覚えることがたくさんで難しいのかな?」や「私には犬の言葉が理解出来るようになるのかな?」などと、感じてしまう方が多いと思います。

犬のボディランゲージを読み取る際に1番大切なことは、「相手に対してこれをしたら嫌がるかな?」、「今、どういう気持ちなんだろう?」、「大丈夫かな?」など、相手を思いやれる気持ちを持っているか。

また、それを自分に置き換えて、「もし自分がそうされたら嫌かな?」、「自分だったらこういう時どうして欲しいかな?」というのを考えることが出来るのであれば大丈夫です。 人間は誰でも優しい気持ちを持っています。

その気持ちを使いながら犬のボディランゲージを理解して犬と楽しくコミュニケーションを取りながら会話をしていきましょう。 


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