【通信速度が最速に⁉︎】IPv6で高速通信!最新のWi-Fiルーター選びのポイントとは
IPv6とは、IPアドレスのバージョン4であるIPv4に続く、次世代のバージョン6にあたるIPアドレスです。
しかし、せっかくIPv6アドレスを用いたインターネット接続環境を導入したのに、「通信速度があまり変わらない」「遅いのでは?」と悩んでいる方もいるかと思います。
ここでは、IPv6を導入したのに通信速度が遅いと感じる原因と、その対策やWi-Fiルーターの選び方について説明していきます。
1. IPv6とは?IPv4との違いについて

IPv4とIPv6は、どちらもインターネットの通信方法に関する規約ですが、さまざまな違いがあります。
ここでは、IPv4とIPv6の違いについて、8つについて紹介していきます。
① bit数の違い

1つめのIPv4とIPv6の違いは、bit(ビット)数の違いです。IPv4はIPアドレスを32個のビット数で表現していますが、IPv6は128個のビット数でIPアドレスを表現していて、IPv4とIPv6にはビット数の違いがあります。
IPv6はIPv4よりもビット数が多く、膨大な数のIPアドレスを割り当てられるので、IPv4では足りなかったIPアドレスを補っています。
② 表記の違い

2つめのIPv4とIPv6の違いは、表記の違いです。IPv4とIPv6はビット数が異なり、IPアドレスの長さも違うので、ユーザーにわかりやすいIPアドレスの表示にするために表記方法が違います。
IPv4では32ビットのIPアドレスを8ビットごとに区切り、10進数に変換して表記し、IPv6では128ビットのIPアドレスを16ビットごとに区切って、16進数で表記します。
③ 回線速度の違い

3つめのIPv4とIPv6の違いは、回線速度の違いです。IPv4ではネットワーク終端装置と呼ばれる機器を経由してインターネットに接続していて、ここにアクセスが集中した場合に、装置のスペックが足りずに通信速度が低下することがあります。
IPv6は直接インターネットに接続でき、回線の混雑が起こりにくいので、IPv6の方が回線速度が速くなります。
④ 設備の違い

4つめのIPv4とIPv6の違いは、設備の違いです。LANケーブルやスイッチングHUBなどの設備に関して、IPv4で使用できるものは基本的にIPv6でも対応していますが、一部の設備ではIPv6に対応していないものもあります。
例えば、ルーターやインターネット回線、プロバイダーなどの設備はIPv6に対応していないことがあるので、IPv6を利用する際には注意が必要です。
⑤ IPアドレスの管理の違い

5つめのIPv4とIPv6の違いは、IPアドレスの管理の違いです。IPアドレスは、インターネットユーザーが公平に共有する資源として、アドレスポリシーという管理方針に基づき管理されていて、IPv4とIPv6のIPアドレスの管理方法には違いがあります。
また、IPv4は枯渇していて、新しく割り当てるためのIPアドレスの在庫がありません。
⑥ IPアドレスの割り当ての違い

6つめのIPv4とIPv6の違いは、IPアドレスの割り当ての違いです。IPアドレスはICANNという組織が管理と割り当てをしていて、IPv4では個人であれば1~4個程度、法人であれば8~32個程度のIPアドレスが割り当てられます。
IPv6の場合、膨大な数のIPアドレスを割り当てられるので、大量の通信機器にもIPアドレスを割り当てられることでしょう。
⑦ 接続方式の違い

7つめのIPv4とIPv6の違いは、接続方式の違いです。IPv4ではPPPoEと呼ばれる接続方式を使用していて、ネットワーク終端装置を経由してインターネットに接続します。
IPv6ではインターネットサービスプロバイダーを介して、直接接続できるIPoEという接続方式を採用しています。そのため、IPv4よりもIPv6の方が、通信速度などの面で優れています。
⑧ 互換性がない

8つめのIPv4とIPv6の違いは、互換性がないことです。IPv4とIPv6では互換性がないので、IPv4を利用してIPv6が使用されているサイトに接続できず、逆にIPv6を利用してIPv4が使用されているサイトへのアクセスもできません。
現在ではIPv4の利用者が多く、IPv6のサイトを見る機会は少ないのですが、IPアドレスの枯渇に伴いIPv6を利用する場面が増加するので注意が必要です。
2. IPv6のメリットについて
① IPv6のメリットより高速で安定したインターネット回線

次世代インターネット接続方式であるIPv6 IPoEは、従来のIPv4を用いた回線方式のIPv4 PPPoEとは異なる通信経路を用います。
いわば、利用者が増えて混雑している細い道路(IPv4 PPPoE)とは別に、新しい広い道路(IPv6 IPoE)を作るようなものです。混雑の原因となっていた通信設備を経由しないことによって、スムーズな通信を実現するのがIPv6 IPoEなのです。
② 混雑から分離したインターネット利用環境

IPv6の導入により、さらに高度なサービスも生まれています。IPv6 IPoEの光回線サービスの中には、混雑しやすいほかの回線と分離して、安定したインターネット利用環境を提供するサービスがあります。
特に近年、データ通信量が激増しているものに動画や音楽の配信サービスがあります。その利用者はほとんどが個人ですが、この個人向けトラフィックと企業向けトラフィックを論理的に分離して、ビジネスでの安定した接続を確保できるサービスがあります。
また、最近はビジネス面においても、Microsoft「Office 365」やGoogle「G Suite」といったクラウドサービスの利用が急増しています。そこでよく問題となるのが、Windows Updateです。
アップデートが行われると、全社的に同じタイミングで自動更新されるため、一時に通信量が増え、混雑が生じたり、仕事が止まってしまったりするという問題が起こります。
これもやはり技術的・論理的にトラフィックを分離することで、業務用のインターネット通信を安定して利用できるサービスがあります。
③ 最新のサイバー攻撃にも対応できるUTM

IPv6 IPoEの光回線サービスには、、統合脅威管理(UTM)がセットとなったクラウドサービスもあります。
UTMとは、法人がとるべきセキュリティ対策に必要な複数の異なるセキュリティ機能を統合し、パッケージ化したサービスです。
ファイアウォールや、有害サイトのブロック、不正侵入の検知システムであるIDSや防御システムであるIPS、URLフィルタリングなどを一元管理できます。クラウドサービスであるため、導入するのも迅速に行え、最新のサイバー攻撃にも対応できるのが利点です。
メリットのまとめ<IPv6を用いた次世代のインターネット環境>

IPoEは、IPv4によるIPアドレスの枯渇を根本的に解決するばかりでなく、多くのメリットがある「次世代インターネット接続環境」です。
近年、高解像度の動画をはじめとした大容量の通信や、企業活動におけるMicrosoft「Office 365」、Google「G Suite」といったクラウドサービスの利用急増によるインターネット通信量の飛躍的な増加に伴い、ネットワークの混雑状況に左右されない、高速なインターネット接続へのニーズが高まっています。

OCNでは、IPoE方式を採用し、IPv6通信およびIPv4通信の両方が利用できる新たなインターネット接続サービスを提供しています。
IPoE方式は、従来のPPPoE方式よりも大容量の設備を利用するため、混雑しにくいネットワーク構成となっています。さらに、混雑の原因となりやすい個人のお客様向けサービスのトラフィックを論理的に分離することで、ビジネスで必要となる、高速で安定したインターネット利用環境を提供することが可能です。
3.IPv6のデメリットについて
① IPv4通信機器との相互通信

IPv6の導入にはいくつかの注意点が存在します。IPv4とIPv6のアドレス形式には互換性がないため、IPv4で設定された機器とIPv6で設定された機器は、そのままでは相互に通信することができません。
これまでのインターネットはIPv4で構築されてきたため、IPv6への移行が進めば、IPv4とIPv6の環境が混在することになります。IPv4とIPv6の環境が相互に通信できるようにするためには、お互いのIPアドレスを変換する技術を用いて通信の橋渡しをする必要があります。
IPv4 over IPv6と呼ばれる技術を使ったサービスを選択することが重要です。
4. IPv6にはIPoEとPPPoEの2つの方式について

IPv4に比べてIPv6のほうが通信速度は速くなり、インターネットサービスをもっと快適に利用できるようになると思われている方も多いのではないでしょうか?IPアドレスが増えたことによって、インターネット回線の通信速度が速くなるということはありません。
通信速度に関係してくるのは、IPv4やIPv6に付随するインターネットの接続方式の違いです。インターネットの接続方法には、PPPoE方式とIPoE方式の2つがあります。
そして、通信速度がより速くなるのは、IPv6に対応したIPoE方式による接続方式となります。IPoE方式は、IPv4では提供されていないため、IPv4=PPPoE、IPv6=IPoEと一般的にとらえられてしまっているのです。
しかし、実際には、IPv4はPPPoE方式のみですが、IPv6はPPPoE方式とIPoE方式の2つの方法で接続が可能です。つまり、インターネット接続の方式は、現状「IPv4 PPPoE」「IPv6 PPPoE」「IPv6 IPoE」の3つがあるのです。
それでは、PPPoE方式とIPoE方式の違いと通信速度の問題について、詳しくご説明しましょう。
① PPPoE方式による接続とは?

PPPoE方式とは、ダイヤルアップ(電話回線)でインターネットに接続していた時代から用いられていた技術です。
その後、インターネット通信技術の発達でADSLなどの高速インターネット回線が登場しましたが、その以前からの通信プロトコル(ルール)であった「PPP(Point-to-Point Protocol)」を、LAN規格である「イーサネット(Ethernet)」上で使う必要が出てきました。
そこで生まれたのが「PPPoE(PPP over Ethernet)」という技術です。PPPoE方式は、IPv4によるインターネット接続のために使われる方式で、ユーザー側がルーターやアダプターなどの通信機器を設置する必要があります。
もし、IPv6 IPoEを導入していても通信速度が上がらない場合、そのルーターなどがIPv6に対応していないPPPoE方式のままであることが原因かもしれません。

IPv6が利用可能かどうか、ルーターのメーカーのサポートページなどで確認してみましょう。また、IPv6 PPPoE方式でインターネットに接続する方法を提供しているISP(プロバイダー)もあります。
もし、IPv6を導入していても通信速度が上がらない場合は、IPoE方式で接続しているのではなくPPPoE方式で接続している可能性があります。
② IPoE方式による接続とは?

IPoE(IP over Ethernet)は、企業内のLANなどと同じイーサネットの規格で、直接インターネットに接続する方式です。PPPoE方式では、電話回線を前提とした技術をイーサネットに応用していますが、IPoE方式では、初めからイーサネットを通信に使うことを前提に作られています。
そのため、IPoE方式を「ネイティブ方式」、PPPoE方式を「トンネル方式」と呼ぶこともあります。IPoE方式は、PPPoE方式のように専用の通信機器は必要なく、シンプルにインターネットに接続できるというメリットがあります。

また、PPPoE方式とは異なる帯域幅の広い通信網や通信設備を経由してインターネットに接続するため、回線の混雑を避けることができ、高速なインターネット通信を実現します。
「IPv6に切り替えればインターネットの通信速度が速くなる」とよくいわれるのは、正確には「IPv6 IPoE方式で接続するとインターネットの通信速度が速くなる」ということです。この点を混同しないように注意しましょう。
5. IPv4 over IPv6について

IPv4 over IPv6とは、IPv4とIPv6に互換性がないという問題を解決するために使用される技術です。IPv4 over IPv6は基本的な通信をIPv6が担当し、IPv6の中にIPv4の技術を内包して、IPv6でもIPv4のサイトを見られるようにした技術のことです。
IPv4 over IPv6では基本的にIPv6の通信形式なので、IPv4を利用する通信も安定して高速に利用できることでしょう。
6. IPv4 over IPv6のメリットについて

IPv4 over IPv6は、IPv6の通信形式を利用しながらIPv4の通信形式も利用できる便利な技術で、IPv4 over IPv6を利用すればさまざまなメリットがあります。
例えば、通信速度の改善が見込めること、安定した通信ができるようになることなどのメリットがあります。ここでは、IPv4 over IPv6のメリットについて紹介していきます。
① 速度の改善

IPv4 over IPv6では、通信速度の改善が見込めます。IPv4 over IPv6を利用すれば、ネットワーク終端装置を介する必要のないIPv6の通信方式でIPv4を利用でき、ネットワークの渋滞による速度低下を起こすことなくIPv4を利用する通信が可能です。
また、IPv6利用するサイトへの通信も高速ででき、総合的な通信速度を改善できることでしょう。
② 安定した通信

IPv4 over IPv6を利用することで、安定した通信ができるようになります。IPv4 over IPv6では、IPoEを利用してネットワーク終端装置を介さなくてもインターネットを利用でき、渋滞しているネットワークを使用せずにインターネットを利用できます。
ネットワーク終端装置へのアクセスの集中を避けられるので、安定した通信が利用できるようになります。
7. IPv4 over IPv6の注意点について

IPv4 over IPv6は、高速で安定した通信ができるようになる便利なツールですが、IPv4 over IPv6を使用する上で注意するべき点がいくつかあります。
例えば、プロバイダーとルーターが両方の通信方式に対応していないといけないこと、オプション追加料金がかかる可能性があることなどです。ここでは、IPv4 over IPv6の注意点について紹介していきます。
① プロバイダーとルーターが両方に対応していないといけない

IPv4 over IPv6を利用するためには、プロバイダーとルーターがIPv4とIPv6の両方に対応している必要があります。
IPv4 over IPv6は高速で安定した通信が可能ですが、IPv4 over IPv6はIPv4の通信によるデータをIPv6に変換する通信なので、プロバイダーとルーターがIPv4とIPv6の両方に対応していなければなりません。
② オプション追加料金がかかる可能性がある

IPv4 over IPv6を利用する際には、オプション追加料金がかかる可能性があります。IPv4 over IPv6では、IPv4とIPv6の両方にプロバイダーが対応していても、オプションサービスを申し込まなければならない場合や、追加料金がかかる場合があります。
また、IPv4 over IPv6で固定IPや任意のポート開放をしたい場合は、固定IPオプションなどが必要です。
IPv4とIPv6は、それぞれ異なる特徴がある通信のプロトコルで、場面に応じて使い分けることが大切です。
8. IPv6対応なのに速くならないWi-Fiルーターについて

インターネットの高速化には単に「IPv6対応」と書かれている製品ではなく、「IPv6 IPoEサービス対応」と書かれている製品を選ぶことが重要です。
また、「IPv6 IPoEサービス対応」と書かれていても、日本国内で採用されている通信サービスに対応していないWi-Fiルーターがある点にもご注意ください。
特に海外メーカー製品は日本国内の通信サービスに対応していないものが多く、最新のWi-Fiルーターを導入したのにインターネットが速くならないといった声も聞かれます。
9. IPv6 IPoE利用までのステップについて

<IPv6を導入するまでに必要な3ステップ>
- 対応プロバイダーに回線切り替えを申し込む
- 対応Wi-Fiルーターを準備する
- 端末とルーターを接続する
Wi-Fiを1から導入しようと考えたときのステップとほぼ変わりません。気を付けるのはIPv6 IPoEに対応しているかどうかのみです。在宅勤務、テレワークなどをきっかけに、導入してみてはいかがでしょうか。
まとめ
Wi-Fiを快適に利用するための、一歩進んだ対応策であるIPv6について説明してきました。
1つ前のIPv4とは、ビット数の違い、表記の違い、回線速度の違い、設備の違い、IPアドレスの管理の違い、IPアドレスの割り当ての違い、接続方式の違いなどがあることが分かりました。
現在は各インターネットサービスプロバイダーの対応も進み、 工事などの必要もなく 、移行できることもあります。通信でお悩みの方は、ぜひ検討してみてください。
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