【5月の祝日】こどもの日(5月5日)の意味や由来とは?
5月5日はこどもの日。同じ日が、端午の節句でもありますね。こいのぼりを揚げて、五月人形やカブトを飾って、菖蒲湯に入り、ちまきや柏餅を食べる日です。
でもそれって男の子限定?こどもの日と端午の節句はどう違うの?この記事ではこどもの日のいろいろを解説。その日の食べ物などもご紹介します。
1. こどもの日とは?

こどもの日とは、「こどもたちの人格を重んじ、幸福をはかるとともに、お母さんにも感謝する日」です(祝日法より)。
端午の節句は男の子の節句と言われますが、こどもの日には、もちろん男女の区別はありません。
お母さんに限らず、お父さんに感謝してもいいですね。実はこどもの日は、世界中の国々にあります。
祝日の場合も多く、祝日ではなくても、幼稚園や小学校は休みだったりすることが多いようです。
世界で最初にこどもの日を制定した国は、トルコだと言われています。
トルコの初代大統領が、トルコで初めて国民議会が開かれたことを記念した「国民主権の日」を、子どもたちを祝う日として提唱したことがきっかけです。
その後、1925年にスイス・ジュネーブで開催された子ども福祉世界会議で、6月1日が「国際こどもの日」と制定されます。
そして、第二次世界大戦の終戦から3年後、もともとは端午の節句として行事が開かれていた5月5日を「こどもの日」とする請願が国会で出され、1948年に祝日と定められました。
1954年には子どもたちの相互理解と福祉向上を目的に、国連が11月20日を「世界子どもの日」と決めています。
そこから、世界のあらゆる国でこどもの日を制定する動きが活発になり、6月や11月など、各国の事情に即した日付でこどもの日が誕生しました。
2. こどもの日の由来・端午の節句との違いについて

こどもの日が法律で定められた祝日であるのに対し、端午の節句は伝統行事であることが、大きな違いです。端午の節句は奈良時代から続く「五節句」という行事が由来となっています。
五節句とは、季節の節目に設けられた5つの式日を指します。端午の節句の起源は、2300年前の中国です。もともと5月5日は陰謀により国から追放された屈源という人物を供養する祭りの日でしたが、徐々に病気や災厄を祓う行事へ移り変わります。
そして、奈良時代に無病息災を願う行事として中国から日本に端午の節句が伝わりました。端午の節句が男の子の成長を祝う日となるのは、江戸時代に入ってからです。
端午の節句に関わる「菖蒲」と、武を重んじることを意味する「尚武」をかけて、端午の節句は武家の跡取りとなる男の子の成長を祈る行事となりました。
●「祝祭日には草餅・ちまき・柏餅・そうめんなど、食べ物が加わると大変なごやかなものが生まれてくる」
●「やはり春から初夏にかけての時期を選びたい」
といった意見が出て、結局、5月5日が選ばれました。同時に、天皇誕生日(4月29日)・憲法記念日(5月3日)も祝日になることが決まりました。
当時、5月1日はメーデー(労働者の日)で休む会社も多かったのです。春から初夏に移り変わる絶好の行楽の季節に、大きな“飛び石連休”が生まれることになりました。後のゴールデンウィークの誕生です。
私たちが現在、行楽を楽しめる大型連休にもこんないきさつがあったのですね。
3. こどもの日は何をするかについて
こどもの日には、伝統文化に基づいた行事がおこなわれています。
① 鯉のぼりを揚げる

こどもたちの健やかな成長を願って揚げられる鯉のぼり。江戸時代から始まった風習です。もともと、武士が玄関に幟(のぼり)や旗指物(はたさしもの)を飾っていたことから始まったようです。
その後、町人も行うようになり、五色の「吹き流し」(鯉の形をしていないもの)や、出世魚であり、滝を上った鯉は竜になるという中国の登竜門伝説にちなみ、「川の流れに逆らって上昇する鯉のようにたくましい子に育ってほしい」という願いを込めて、武士以外の町人も鯉のぼりを揚げるようになったという言い伝えがあります。
② 五月人形を飾る

こどもたちの力強くたくましい成長を願うとともに子どもを災いから守ることを目的に、五月人形も飾るようになりました。鎧や兜には病気や事故から守る意味が、弓矢や太刀には邪気払いの意味が込められています。
五月人形の飾り物には鎧飾り・兜飾り・武者人形の3種類がありますが、いずれも子どもの代わりに災厄を引き受けてくれる役割があるため、人に譲ることは推奨されていません。厄除けとしての役目が終わったときには、五月人形の供養が必要です。
③ 菖蒲湯(しょうぶゆ)に入る

強い香りを放つ菖蒲は、古来より中国で邪気を払う薬草として取り扱われています。そのため、「暑い夏を健康に乗り切れるように」という願いを込めて、菖蒲湯に浸かる習慣が生まれました。菖蒲にはオイゲノールなどの精油成分が含まれており、お風呂に入れて菖蒲特有の香りを嗅ぐことで、リラックス気分を味わえるでしょう。
また、菖蒲は湯に入れるだけでなく、厄払い・魔除けとして屋根につるしたり、お酒に入れて飲んだりする風習もあります。「ショウブ」という響きが「勝負」「尚武」などの言葉を連想させることから、菖蒲を使用することには子どもの健やかな成長を願う意味合いも含まれます。
4. 端午の節句は何を食べるのかについて
① 柏餅(かしわもち)

こどもの日に柏餅を食べる理由は、柏が子孫繁栄につながる縁起のよい植物だと捉えられているためです。
柏の葉は新芽が育つまで古い葉が落ちないことから、武家社会において「柏餅を食べると家系が途絶えない」と考えられるようになりました。
柏餅を食べる風習は、関東地域を中心に広まっています。中の餡は、つぶあん・こしあんがメジャーですが、最近は芋あん・ずんだあん・白味噌あんなど、バラエティ豊富です。
② ちまき

ちまきを食べる風習は関西地域に根付いていることが特徴です。「政治家・詩人であった屈原が川に身投げしたあと、人々が供養の意味を込めて楝樹(せんだん)の葉で包んで五色の糸で巻いたちまきを川に投げ入れた」という中国の故事に由来し、災いを避ける目的でちまきを食べる風習が生まれました。
③ タケノコ

タケノコのシーズンはちょうど4月からゴールデンウィークにかけて。いろどりの良い炊き込みご飯などにすると、アクも強くなく、香りと歯応えが楽しめますね。
成長が早く、生命力にあふれたタケノコは、こどもの日にぴったりの食材。竹にあやかってまっすぐすくすくと育ってほしいとの願いが込められています。
5. 地域による鯉のぼりの文化の違いについて

こどもの日に揚げる鯉のぼりには、地域によって個性豊かな風習が残っていることがあります。そんな各地の文化をご紹介します。
① いわき絵のぼり【福島県】
鯉のぼりよりも古くからあったと考えられているのが「五月のぼり」。節句のぼり、武者のぼりともいいます。戦国時代の旗指物(はたさしもの)のように縦長で、大正時代までは全国でごく一般的に見られたようです。
福島県いわき市には、「いわき絵のぼり」と呼ばれる伝統工芸が現代まで伝わっています。中国の神・鍾馗(しょうき)の勇壮な姿や、源平の合戦、神話のシーンなどが精巧な筆致で描かれ、鯉のぼりと一緒に掲げられます。高さは約5メートルとかなり大きなもの。いわき市の無形文化財にも指定されています。
② フラフ【高知県】
高知県で鯉のぼりと一緒に揚げられるのが「フラフ」。旗を意味するオランダ語が語源と言われています。明治時代の終わりごろから続いているそうです。高知県南国市(高知市の東隣り)から東の沿岸地域で盛んで、鯉のぼりと一緒に揚げられます。大漁旗をイメージして作られたもので、サイズはタテ3~4メートル、ヨコ5~7メートルと大きなもの。それでも鯉のぼりより上げ下ろしが楽なので、海沿いの漁師さんから農家さんにも広がっていったのだとか。
③ 長崎式鯉のぼり【長崎県】
長崎県には、独特の鯉のぼりの揚げ方があります。鯉のぼりそのものは普通なのですが、垂直に立てたポールの途中に強いロープを結びつけ、そのロープで棒を横に吊して、その横棒から鯉のぼりたちを垂らすのです。
横棒の一方の端はロープで地面に結びつけられています。こうすると風がどこから吹いても鯉のぼりが自由に動き、また風がなくても、泳いでいるように見えるという仕掛けです。
中国と交易があった江戸時代、長崎は外国からの玄関口でした。そんな時代、中国から高僧を迎える際に、目印として建物に布を掲げていたときの工夫がそのまま活かされているのだとか!
まとめ
こどもの日は、男の子・女の子に関係なく子どもたちの成長を祝い、母親に感謝を示す日です。
戦後になってから法律で制定された祝日であり、伝統行事である端午の節句とは由来や意味が異なります。
しかし、こどもの日に行うイベントは端午の節句と似通っており、「鯉のぼり・五月人形を飾る」「菖蒲湯に入る」「柏餅を食べる」などが挙げられます。5月5日のこどもの日には、制定された意味を確かめながら有意義に過ごしてみてはいかがでしょうか。
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